トリアエズ出会い編



「……」

何かが俺の後をついてきている…
ある雨の日、犬飼は何かの気配を感じつつ歩いていた。
気配は犬飼が歩き出せば後をついてきて、立ち止まれば同じように足を止める。
途中までは無視していたが、やはり気になるのが人の性分。
くるっと背後を振り返る。


「…犬?」

そこには雨でびしょ濡れになった子犬が犬飼を見上げていた。
生後半年くらいだろうか。茶色い毛に同じく茶色の瞳。
ペットショップで見るようなラブラドール・レトリバーだ。
見たところ首輪も無い。どうやら捨て犬らしい。
しかも天気は雨。このまま放っておいたら風邪を引くかもしれない。
運が悪ければ死んでしまう可能性も無きにしもあらず。
…どうしようか。


「とりあえず…連れて帰るか」

犬飼は暫く考えた後、連れて帰ることに決定した。
元々の犬好きということもあり、放っておく事は無理だった。
近づいてきた子犬を抱き上げて、犬飼は再び帰路についた。


「…とりあえず、拭いてやるか…」

犬飼は家に着くと早速タオルを探し、びしょ濡れの子犬をガシガシと拭いた。
傍目には相当荒っぽいが、子犬のほうは気に留めていない様子。
暴れもせずに大人しく犬飼に拭かれている。
水気が取れてくると体にべったりと貼りついていた毛が、ふわふわとした暖かみを取り戻して。
犬飼君はくりっとした大きい目がくるくると良く動くこの子犬を…

「か…可愛い…」

とても気に入ってしまったのでありました。


「…とりあえず、名前だな…」

もう飼うことに決定済みなので早速名前を考えにかかる犬飼君。

「…とりあえず……」

ポチ?…いやそんなありきたりな。あんまそういう感じじゃないし…

「……とりあえず…」

シロとか?ダメだ、コイツは白くない。

「…うーん…とりあえず…」

そうだ、犬種は何だ?…ラブラドールレトリバー…?
ていうと…ラブ?…それこそ嫌だ。

「…とりあえず………とりあえず………うーん…」

あーでもないこーでもないと首を捻り考える。
終いにはペットの名前集(そんなのどこにあったんだ)まで引っ張り出す始末。
とりあえずとりあえずと呟いている自分を子犬がじーっと見ていることなど微塵も気付かず。
懸命に名前を考えるケナゲ(?)な犬飼君。


「よし、決めた」

やっと決めた名前はさっきの名前集から抜粋した模様。
犬飼は子犬を目の高さまで抱き上げた。

「いいか、お前の名前はとりあえず…」
「ワン!」

……へ?何だ、俺はまだ何も言ってはいないぞ。
言う途中で犬に話を遮られた犬飼は首を傾げた。

「…お前はとりあえず…」
「ワン!」
「………とりあえず…?」
「ワン!」

…もしかして『とりあえず』に反応しているのか?

「……わかった…お前の名前は『トリアエズ』だ…」
「ワン!」

少し脱力した犬飼とは対照的に、『トリアエズ』はとても嬉しそうに尾を振った。


「トリアエズ、散歩行くぞ…」

それから3年半後。
犬飼はトリアエズを連れて散歩に出かけた。
トリアエズも大きくなり、昔は小走り気味だった散歩も飼い主と足並み揃えて。

「おや、犬飼君。お散歩ですか?」
「ああ…辰か…」

中学からの知り合いの辰羅川をトリアエズは当然覚えている。
歩く足をぴたりと止め、犬飼の隣で待つ。

「相変わらず賢くていいですね、トリアエズ君は」

飼い犬の頭を撫でて誉める辰羅川。誉められるのは飼い主として嬉しい。
思わず犬飼の顔もほころぶというものだ。


「…しかし犬の名前に副詞というのはいかがなものでしょうか…」
「……それは言うな…」





****ありがとうの言葉。****
ユウさま、ありがとーですvまさか、冗談で、会話でのネタを小説にしてくれv といったら本気にしてくれたなんて嬉しいよ〜。愛してます!!
君との会話はネタの宝庫で楽しいです(笑)トリアエズの名前からここまでの妄想になるって凄いよね、うちら(笑)
また話して書いて、私にください(笑)





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送