風の旅人V

                 
乱世藤馬





 夜風が、火照った身体に気持ちいい。
 なんとなくそのままひとっ風呂浴び、中庭に出てきた天化と天祥は、真ん中あたりに腰をおろした。

「天化兄様、それなぁに?」
「ん、聴けばわかるさ」

 天化はあくまで、天祥に楽器がなにかを教えない。チューニングをして、音を確かめる。右手で細い部分をもち、左手で弦を押さえる。追うように右手でも軽く弦を押さえた。
 ヴァラン
 澄んだ音がした。よく使いこなされた、楽器の綺麗な音。聴いたことのない節に、天祥は耳を傾けた。
 聴いたことのない音楽。見たことのない楽器。
 ヴァラン、と最初に響いた弦の音を追うように、兄の声がかぶさる。よく伸びるテノール。透き通った声に、西岐城の人々は皆、手を止め身体を休めて聴き惚れる。

「ほう・・・・・・」(太公望)
「御主人・・・・・・」(四不象)
「この声は・・・・・・」(楊ゼン)
「見事なもんだぜ」(雷震子)
「・・・ム・・・」(なたく)
「誰だ?」(姫発)
「綺麗な声・・・・・・」(武吉)
「すんばらすぃー音楽だねっ!!」(おそらく趙公明)


 ヴァラン・・・
 始まったときと同じような音で、その音楽は止まった。少し照れくさそうに、天化が微笑む。

「元気、出たさ?」

 天祥に話し掛ける。心なしか、その顔は赤い。彼なりの弟への気遣いだったのだろう。

「・・・うん!!ありがとう!天化兄様っ!!」


 がたん!!!

「痛・・・・・・」

 身体を起こし、あちこちをさすりながら天化は立ち上がった。ひとつしかなく、しかもふたりで寝ると少しせまいベッドは天祥に譲り、仕方なく彼はその長身を丸めてソファに横になっていた。が、ソファは少し彼の寝床にはせまかったようだ。寝返りを打ったとたん、ソファから転がり落ちた。もうすぐ朝が来る。寝ぼけすぎてもいけないため、天化は洗面台へ向かった。
 引き締まった、一片の贅肉も無い身体が鏡に映る。あとで羽織ろうと思って持ってきていた革ベストを無造作に羽織り、顔を洗った。
 顔を上げる。
 鏡に映っているのは、弟とどこか似ている幼い少年の顔だった。


                                                        Fin




 雑談・・・

 *乱世籐馬*
   どうでしたか?一応これで終わりです。実は風の旅人には、ふたつのテーマがあったのです。ひとつは「天化に唄わせて、西岐城の人たちを感動させる」。もうひとつは「仙人とはどれだけ偉いのかをわかってもらう。人の運命を変えられるほど偉い存在なのかをわかってもらいたい」。・・・・・・無理。乱世の文才では、この程度が限界なのです。
風の旅人は、今年(2001年)の4月9日に書き上げたものです。だから、だいたい1ヶ月前のですね。余談ですが、今日は乱世の誕生日です。5月15日。こんな特別な日に小説をHPに載せていただけるとは・・・。乱世は幸せ物ですvvまたいつかどこかでお逢いしましょう。
 Good legend Have a dream

 *お礼な気持ち*
 とうとう完結ですね!「風の旅人」を私のHPに載せさせていただきありがとございました(^o^)vこのような素晴らしい小説を頂き私は幸せですvv
乱世さん。お誕生日おめでとーございます:*.;".*・;・^;・:\(*^▽^*)/:・;^・;・*.";.*: 小説をお誕生日に載せたかったのに一日ずれてしまってすみませんιιまた何か書いたときは頂けると光栄ですv(ずうずうしいι)本当にありがとうございました☆









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