風の旅人U
乱世藤馬
「いつだったか、言ってたさ。『オレは母上の意思に関係なく産まれた。オレを産んだ所為で、母上は多くのものを背負った。仙人とは、そんなに偉いものなのか。ひと一人の運命をたやすく変えられるほど偉いものなのか。オレはそれが知りたい』ってな。天祥は、宝貝人間が霊珠によって作られたことは知ってるさ?」
「うん」
「だから、産みたくなくっても産み落とされる。強引に、勝手にな。それは霊珠を埋め込んだ仙人界の意思だ。宝貝人間の母親―――殷氏って言ったかい?―――の意思じゃねぇさ。わかるさ?」
なんとなく、と言った天祥に、天化は語る。・・・・・・天化の視線はどこか、遠くを見つめているようだった。酷く・・・昔の情景を想い出して見つめているかのように。
「宝貝人間は、生まれつき―――莫邪の宝剣みたいな―――宝貝を身につけてるさ。だから人々から避けられるのさ・・・怖いからってな。そして、母親も避けられるさ。親子―――いや、親戚一同、それこそ一族縁者に至るまでが『人の輪』からはずれてしまうのさ。その原因はなにか、わかるかい?」
「う〜んと・・・・・・仙人界が、レイジュってのを埋め込んだから?」
「そうさ。仙人界が霊珠を埋め込まなかったら、宝貝人間は誕生しなかった。宝貝人間が誕生しなかったら、母親は『人の輪』からはずれずにすんだのさ」
眼を閉じた天化に、天祥は話し掛ける。
「なたくにーちゃんは、お母さんを『人の輪』からはずしたくなかったの?」
「多分な。天祥だって、自分が産まれた所為でおふくろが人から避けられたりしたら嫌だろ?」
「やだっ!!!」
「なたくもおんなじ気持ちなのさ。・・・オヤジが死んだのは、仙人界の意思だ。封神計画なんてものがなけりゃ、オヤジは死ななかったさ。紂王がおふくろを追い詰めなきゃ、おふくろもオヤジも死ななかったのさ。でも・・・・・・」
続きを待つように天化を見上げた天祥ににっと笑いかけてから、天化は続きを語る。
「でも、そしたら天祥と俺っち、多分一生出逢えないままさ」
「・・・・・・うん!!!」
寝台から立ち上がり、なにか楽器をいじり始めた天化をみて、天祥は話す。
「天化兄様、今日・・・ここで寝ていい?」
「ああ。いいさ」
よしっと言って立ち上がり、ドアを開けようとする天化をみて、天祥は声を掛けた。
「どこか行くの?」
「散歩さ」
「楽器持って?」
あちゃ、というように肩をすくめた天化は、天祥に笑いかける。
「天祥も来るさ?」
「行くっ!!」
雑談・・・
*乱世藤馬*
どうも、乱世藤馬です。Uはちょっとわかりづらかったかもしれません。詰め込みすぎたので・・・・・・。自分ではまだまだ未熟だと思っています。
楽しんで(シリアスなのに楽しめるわけないか)読んでくださったら幸いです。なたくとか天化の気持ちも考えながら読むともっといいかもです。
ではVでまた・・・
*お礼な気持ち*
「風の旅人U」ありがとーございますvv思考回路が乱世さんと少し似ているのでしょうか?(ずうずうしいιι)私の好きな感じに仕上がっていて「わ〜い☆」って感じですvvVを楽しみにしてますv
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