季節吹くとき

                
乱世籐馬



縁側に座り、雨雲がたなびく空を見上げるひとりの男がいた。
彼の名を太公望。封神計画実行者その人である。
今にも泣き出しそうな空を見上げ、彼はひとりこれまでのことに思いをはせた。
多くのものを失った。
友人、仲間、プライド、誇り、etc・・・
ぽつ、と鼻先にしずくがあたった。
空はついにこらえきれずに泣き出し、ざああと音を立てて涙を流した。夏には珍しく湿った空気が流れる。
衣服や自分が濡れるのも構わず、太公望はそこから動かない。どこか遠いところに思いを寄せて、現実の人物ではなくなってしまったかのように・・・・・・・・。
夕立はすぐにやみ、赤い夕日が姿を見せた。血のように真っ赤で、どこかせつなげで、昼と夜との一瞬のはざま・・・・・・。
(普賢のようだ)
どこかせつなげで、優しげで、思わぬ行動に出る・・・・・・。
夏の空や、高い山の気候は亡くした友人によく似ていた。
せつなげで、優しくて、それでも他人第一で、はかなげで、すぐに消えてしまう・・・・・・。
そんな昼と夜のはざま・・・・・・。
そんな、愛と優しさとせつなさのはざま・・・・・・。
夜のとばりがすっかり落ちてしまった。輝く星が出る。
(天化のようだ・・・・・・)
昼と夜とは、あの誇り高かった若い少年に似ている。
きっぱりはっきりしていて、一途で真っ直ぐで、光と闇を理解していて・・・・・・。
だけど時々迷うことがあって、星や月に慰められる。
そんな、昼と夜の中で。
そんな、誇りと自尊心の中で。

護りきれなかったたくさんのひと。

空がまた泣き出した。
太公望は部屋の中へ戻った。

打神鞭をその場に置いて・・・・・・・・・



Fin





〜雑談〜
毎度おなじみ(?)乱世藤馬でございます。『乾いた風』のお礼にありみしゃんに送りつけました。
季節感がイマイチ出せなかったんですが・・・・・・。喜んでいただけるとこれ幸い。
今までで一番新しい封神小説ですねぇ・・・・・・。ではまたお逢いしましょう。


*お礼な気持ち*
毎度おなじみの籐馬しゃまvありがとーですvあんな小説の「お礼」だなんて嬉しいですぅv
まじ、喜んでます〜♪ありがとーvv望ちゃんの悲しい気持ちが伝わってくるようですわv
今後もよろしくです!!





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