幼馴染〜Ver.犬・辰・柳













「兄ちゃ〜ん!!」
「げっ!天国!走ったら駄目だろうが!」
広場にいる少年他数名をめがけて走る子供は、子供の言葉に足を緩めた
「は〜い!ねぇねぇ、やっぱり、今日も兄ちゃんが勝ったの??」
手に1つずつ荷物を持って、ゆっくりと歩きつつ、首をかしげて少年達に問いかける
「ええ、今日も  君は打たれて、  君は打てませんでしたよ」
少年と一緒にいる、子供と同じ年くらいの子供の内の1人が答え、
「やっぱり、兄ちゃんすご〜い!!じゃぁ、今日も兄ちゃんが大き目ねv」
やっと、少年達の下へと辿り着いた子供は、右手に持った荷物を足元へと置き、左手に持った袋から箱を取り出した
「じゃーん、今日はイチゴのタルトにしてみましたv」
箱の中からタルトを取り出した
「今日のもうまそうだなぁ・・・。天国、やっぱ、菓子作りの才能あるっしょ。甘いの苦手なこいつでも食えるしさ」
箱を持っている子供よりも身長は大きいが、やはり同じ年くらいの子供が呟いて、
「とりあえず、うまいから」
最後の1人も呟いた
「じゃ、いつものごとくそこのベンチに座ろうか」
少年は子供の足元に置かれたままになっている荷物を手に持ち、子供の背を押した
「うんv」
「はい」
「「ああ」」































「・・・・・・・・・夢か・・・・・・。っーか、懐かしい夢だな・・・」
起き上がりながら呟いた
10年近く昔の夢
兄と幼馴染達。あの後、兄は幼馴染の1人に打たれて自信をなくした
ほぼ同時に、それとは無関係なことから引っ越すことを余儀なくされて、幼馴染達が今どこで何をしているのかもわからない
さらにひどいことに名前さえも思い出すことが出来なかった
「まっ、別にいいけどな」
引っ越した先で知り合った親友が、今は近くに住んでいるのだから・・・・・・
「ファー・・」
伸びをする。時計を見れば程好い時刻
「試合、頑張るか・・・・・・」


―――けど、あの中で唯一できなかった俺がこんな事やってるとはねぇ・・・
あの頃には想像も出来なかったよなぁ・・・


























本日の練習試合の相手は強豪である華武高
そこと遣り合うために、皆頑張ったし、当然、俺も頑張った
せめて足手纏いにはならないように・・・
ミスをしても、いつも強がりつつふざけているが実際には申し訳なく思っている
華武高の校門前でレギュラー陣やマネージャー達と合流し、華武校内へと入っていく
キャプテンと犬っコロにとっては因縁の対決
だから、当然のごとく嫌味の応酬が繰り返される




















・・・・・・・・はずだった
いや、キャプテンと華武のキャプテンさんはやりあっている
だが、もう1つの犬達のほうは・・・・・・、
犬は確かに相手に突っかかって、辰羅川はそれを止めようと奮闘中







だが、その相手はなぜか俺のことを見ていて・・・・・・・・・
それに反応するかのように周りの奴らの纏う空気が下降の一途


―――・・・ああ、氷の上を滑るペンギンの姿が見える気がするぜ・・・・











「なぁ、お前ってさぁ」
逃げ出したいと訴える体を無理やり押し止めていたところ、犬の因縁の相手が声を掛けてきた
―――ウワッ!温度が一気に低下した!!
ってか、ペンギンが震えてるよ!!
寒さで凍えそうになる体を叱咤しつつ、相手の方へ視線を向ければ、相手の背後には今にも飛び掛かりそうな狂犬と鞭の様に伸びた揉み上げを蠢かす辰の姿が目に入る







「もしかしなくとも天国っしょ?」


―――・・・・・とうとうペンギンが氷付けになっちまったよ・・・・・・

   っつかなんでこいつは俺の名前を知ってんだ?









「久しぶりだなぁ。ってか何時こっちに戻ってきたんだよ
っつか、顔そのまんま。そういやぁ、お前って心臓弱かったんじゃなかったか?
少し走るのでさえ、あいつが止めてたし、野球なんてやって大丈夫なんかよ?」






―――誰だよ、こいつ・・・・・・
何でそんなこと知ってるんだ?
でもって、空気が目に見えて凍りついたぜ・・・
頭の中はそれで一杯になった


















「もしかして俺のこと覚えてねぇの?
ひでぇなぁ、幼馴染だってぇのに。ほら、天国の兄貴とよく野球で勝負やってたうちの1人だよ。天国は天国でよく菓子作って差し入れに来てくれてたっしょ?」
・・・・・・・・・・・
ふと、今朝見た夢を思い出す
「・・・・・・兄ちゃんによく、打ち負かされてた奴か
つーことは、まさか、滅多打ちにされてたのは・・・・・・・・・・・・・・・」
顔が引き攣っているのが自分でもわかる
御柳の後ろにいる犬を見てみる
「この負け犬以外、誰もいないっしょ?」
疑問系ながらも肯定文だった
犬と辰も御柳の言葉に驚いているようだ
「で、あいつはどうしてんだ?でもって、天国は運動やって大丈夫なのかよ?」
うーん・・・、核心を突いてくるなぁ・・・・・・
「兄ちゃんなら1人あっちに残って、メジャーに殴り込みした
あーっと、俺はまぁ、向こうに引っ越してすぐに移植手術やって、今じゃ、もう元気なもんよ
元々引越しの理由はそれだったしな・・・。その後戻ってこなかったのは、向こうで大学(がっこう)行きだしてたから」
暇だったんだよ、あん時は。でもって卒業後、また暇になったから日本に戻ってきて、高校なんて行ってるんだしさ・・・・・・
「い、移植手術?!?!
そんなに悪かったのかよ・・・・・、気付かなかったぜ」
そりゃ言ってなかったしな・・・・・・
「結構発作とか起こしてたんだよ、一応さ」
いろいろと質問をしてくる御柳に、普通に返しつつも、周りを見回した
華武高野球部のグラウンドは見事なまでに凍り付いていた
誰もが俺らのことを見ていて、嫌味の応酬をしていたキャプテンたちさえもが固まっているし、一応、幼馴染だったらしい犬と辰もいまだに固まったままだった




―――練習試合、出来んのか?



こんなことを思っても仕方がないだろう


























短い話のつもりだったのですが、結構長くなりました。
ちなみに、心臓の移植手術をした人が、本当に運動が出来るのかどうか全く調べていないので信じないで下さいねv
ちなみに、幼馴染 Ver.犬・辰・柳だというのに、犬と辰さんがほとんど出ていませんね・・。ウーン、やっぱりこの3人の中だと柳氏が好きだからなのかなぁ・・・。あっ、ちなみに衝撃の事実を知った野球部員達は猿さんに対し、これ以降は無茶をさせないよう気を使います。特に牛さん辺りが(笑)
ついでに、犬と辰には近づけないようにします。華武の方は・・・・・・、柳氏と猿さんが出掛ける場にどうやって情報を得るのか出没します。でもって、柳氏の邪魔をする、という話でしたv
気がむいたら、そのうち続きを書くかもしれません(笑)


3日以内なら強奪可だったんで、愛しの真琴さまのサイトよりいただいてきちゃいましたv
幼馴染シリーズ!しかも、何気に眼鏡(いや、実際にかけてはないけどさ)だし!きゃーvv
作中での沢が「近くに住んでるのだから」に沢猿ーvってときめいたのは私だけですかね?(死)
あ、ばからんが大活躍で嬉しかったですv何気に犬にダメージ与えてるし!
あぁ、やっぱり真琴さまは最高ですねv
強奪させていただき、ありがとうございましたvv









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