Rainy Day






「雨って結構好きだな。翼さんは?」


そう将は雨を嬉しそうに笑った。
ハッキリ言って雨は嫌いである。
雨なんて気分は憂鬱になるし、傘は邪魔だし、濡れるし、良いことなんて一つもないって思ってた。
いや、今でも思っている。
でも、将の、大好きな将のそんな一言で少しは雨が好きになれそうというのだから不思議だ。
けれど、


「なんで?雨より晴れの方がいいだろ?」


活動が制限される雨はやはり将のように好きになるのは難しい。
部活ができなくなる。
誰よりも一生懸命で、部活が大好きな将もそうだと思ったんだけどな…。


「だって、気持ちいいじゃない?流石に大降りは嫌だけどね…。でも、今日みたいな小雨なら気持ちいいじゃない!特にこんなに暑い日が続くとね。」


ほら。

そういって、将は傘をおろして目を瞑り、顔を空の方へと向けた。


「気持ちいい…。」


気持ちよさそうに、楽しそうに笑う将をみているとなんだか真似をしたくなった。
普段なら絶対にそんなことなんてしないのに。


「あ、本当だ…。」


パラパラと小雨が体に当たる。
思っていたほど不快ではなく、寧ろこの暑い季節には冷たさが心地よい。


「そうでしょ?」


将は僕の同意を得ることができて満足そうに微笑んだ。
そんな笑顔を見ると、なんだかこちらまで嬉しくなってくる。


「それに、ほら。」


そう言うと、君は傘を空に向かって差しだして、


「この、微かに聞こえる雨の音も好きなんだ。」


なんて、これまた嬉しそうに言う。
だから、将と同じ気持ちになってみたくて、将の好きなものがもっと知りたくて、自分もその音に耳を傾けてみる。


パラパラ パラパラ・・・


確かに微かに聞こえてくる自然の音楽は悪くはない。


「うん。悪くはないね。僕は嫌いじゃないよ。」


そう思ったままに答えた。
こういう風に自然を感じてみるのもなかなかいい。


「でしょ?」


翼さんならそう言うと思ったと、そう嬉しそうに笑った。


「でも、1番の雨が好きな理由は…。」

「理由は?」


そう訪ねると君は顔を赤色で染めて、照れくさそうにする。
そんな将に対して僕が続きを早く、と催促すると


「…翼さんと、…翼さんと一緒にいられる時間が増えるでしょ?」


そんな将の答えに思わず笑みがこぼれる。
何事にも一生懸命で、晴れでないと部活ができないと落ち込むかと思っていた将の言葉だったから。
だからこそ、この言葉は重みがあり、嬉しい。


「本当は晴れて欲しいんだけど。…でも、もっと会いたいなって思っちゃうから。」


普段はお互いに忙しくてなかなか会うことは出来ない。
学校は違うし、部活だって毎日のようにあるのだ。
晴れならなおさら、休日だって滅多に会えない。
でも、雨なら会える確率は高くなるのだ。
部活が休みになることが多いから。


「僕もそう思ってたよ。」


にっこりと笑った。
将も同じだね、と笑い返してくれた。


「確かに、雨っていいかもね…。好きになったね。」

「でしょ?」


そんな風に思える、そして僕のことを想ってくれる将と出会えて嬉しい、そう感じた。
今までの僕には無かった感情が君によって生まれる。

将の手をそっと握った。
すると、将も握り返してくれた。

雨の日は憂鬱だけれど、でも、こうして将に逢える幸せがある。 憂鬱な気分なんか忘れてしまうような気分になる。

「次の雨が楽しみだね…。」




END




***あとがき。***
はい。「更新おくれてごめんなさいSS」の改訂(?)版ですね。
正確に言うと、コレが正しい形なんですけどね。まぁ、仕方ないです。表に載せたくないんですから。
またまた翼将です!いや。別にこれが一番好きなわけではないですよ。なぜかコレになっただけです。
免疫があるせいでしょうか??書きやすいってい理由で…。
別にこの展開なら不破っちでもよかったんだけどね…。あ、それの方が自分的に楽しかったかも?(笑)
天気の方が将君には似合っているような気がしますが、雨の将君も素敵だと思ったのでこんなお話v
とにかく彼が幸せならなんでもいいんですが(笑)




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