その瞳は戸惑いで揺れていた

まるで、自分を取り巻く新しい世界を

自分を見つめる瞳の温かさを初めて知ったヒヨコのように…








戸惑いのヒヨコ














子供が一人

その瞳は雲一つない空の青のようで

その髪は黄金の稲穂のように輝いていて

とても美しい子供








慈しまれるべくして産まれたその子供は

なんの悲劇か憎まれた

子供にはなんの罪もないというのに…

なんという酷い運命か

きっと、金色の子供と同じように美しい髪を持った青年が生きていれば

これほどまでに神を恨んだことはなかっただろう

なんという悲しい運命か







だから

彼の気持ちが分かる者達は金色の子供に愛を与えた

多数からではなく、より少数の深い愛を

金色の子供に与えられるはずだった愛を存分に降り注ぐのだ







それはいつしか本当に愛しいという感情に

彼の代わりにではななく

ただ、ただ

子供を愛しいという感情のみ







それはまるで親鳥のようで

金色の子供を己の暖かさで暖めるように

包み込むように慈しむ







けれどそれはいつも空回りで…







「イルカ先生、大好きだってば!」







満面の笑みで

大好きだと言ってくれて

けれど、それは演技なのだと子供を誰よりも大切に想う彼は知っているから

分かってしまったから

悲しくて、せつなくて…

だから彼は

彼は心で涙を流すのだ

泣けない子供の分まで

騙されたフリをしながら…







金色の子供は孤独という名のタマゴに閉じ篭ったままで…

この気持ちは

子供を愛しいと思う気持ちは、彼の元へは届かないのだ







純真だったゆえに拒絶の殻は硬くて

その中で膝を抱えながら

傷付き泣いている金色の子供が分かった

それは子供自身も気が付いていないこと

頑丈な殻は固くて、己さえも気づけないのだ

深く傷ついていて嘆く自分に…







「俺も大好きだよ」







こんな言葉だけじゃ無駄だとは分かっていても

この、金色の子供を愛しいというこの気持ちが伝わらなくても

彼は愛を降り注ぐのだ

いつか、

いつの日か気付くことを祈って…


























「先生は俺のこと嫌い…?」







ある日、金色の子供が戸惑うように彼を見上げた

いつもとは違う言葉

纏ってる雰囲気も、いつもとはまったく違っていて

いつも笑顔で

元気いっぱいの姿しか見せてくれない子供のその様子に驚いた

思いがけなく訪れた、突然の変化

きっとこれは本来の子供の姿で

子供の硬い殻が音を立てて少しずつだか崩れていっているのを感じた







何も発しない彼の様子に、その顔は更に不安に揺れて

なんだか泣きそうで

でも、そんな金色の子供が愛しかった

本当の姿を見せてくれる子供が

まるで歳相応の子供のようで








でも、それを取り戻せたのは彼の力ではなかった

誰かが子供の殻にヒビをいれたのだ

それが悔しかった

ただ、子供を見守ることしかできなかった自分が

そして、今までの自分の言葉を本当に信じきれていなかった子供が少し悲しくて







「ナルトは先生のこと嫌いか?」







だから意趣返し

ちょっと意地悪な質問をした

金色の子供は慌てて首を横に振った







「嫌いじゃない!…イルカ先生は、いつも、俺に優しかったから、嫌いじゃないてばよ…」







自分にもう一度確認するように、たどたどしく金色の子供は言った

その言葉が子供から聞けたことが嬉しくかった

少しでも自分の気持ちが伝わっていたようで

自然と笑みが毀れる







「俺もナルトが大好きだよ」







いつもと同じ笑顔で

いつもと同じように金色の頭をちょっと乱暴に彼は撫でた

"よかった"

ようやく胸を撫で下ろすかのように一息ついた子供は、嬉しそうに彼を見て笑った

本物の笑顔はいつもの何倍も愛しかった







孤独という名のタマゴに閉じこもった金色の子供

子供が老人の愛に触れ、自ら外界に接した時、自らの周りに愛が溢れていたことを知った

けれど、それは戸惑いを与えた

なぜなら、子供はそんな世界は知らなかったから

でも、それは自覚していなかっただけ

常に温かかったのだ

冷たさだけではない

自らが全てを拒絶していただけ

それでもなお、自らに温もりという愛を与え続けた彼らに

その温かさに金色の子供は涙を流した







もう、ヒヨコはタマゴには戻らないだろう…










fin










*****あとがき。*****
2周年記念で書き上げた「孤独のタマゴ」の続編です。
タマゴからヒヨコに成長しちゃったナルチョ(笑)のスレナルでイルカ先生とナルト話です。ん?スレてるか??
とりあえず、続編なんで、あまりというか、全然スレてないですけど、気持ちスレてるってことで!!(笑)
なんだか、時間がたったので、同じような書き方になりませんでしたヨ(死)あぁ、私に文才をください!!
続編書きたくなって書いちゃったんですけど、なんだか、なぁ…ιあぁ、書かなかった方が良かったかも!!(泣)
相手がイルカ先生なのは趣味vてか、私、やっぱり先生好きだなーと再認識しました(笑)
シカナルとか応援してるはずが、いつのまにか先生ばかり。あれれ?(笑)
仕方ないか、年配(笑)の方しかこの役はダメだったんだし。でも、アスマ先生でもよかったなーvアスナルーvv










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