それは お菓子より何よりも sweet ward 「愛してる」 そんな言葉、なんて陳腐なのか それでも逢う度に幾度となく紡ぐのは君の声 軽やかに、囁くように 砂糖菓子のようなそれは甘さで満ちていて 濃密なそれにくらりと眩暈さえ覚える 甘い眩暈 「いつもナルトは逢うとそれだな。…他にいう事はないのか」 いつも自分が追い詰められるのが悔しくて だから、そんな風に溜息混じりに呆れながらも問えば 「この一言に全て詰まってるから、他の言葉なんていらないんだ」 そう、鮮やかに笑いながら呟いて 自分の髪の毛を一筋掬うと軽く唇を落とす 甘い仕草 蒼く輝くような美しい瞳じっと私を見つめて そして、いつもは凍れるように冷たい眼差しを、優しく緩めた 一層どきりと胸は高まって 私だけに見せる表情 私だけに見せる仕草 そして 私だけに囁く愛の言葉 自分に囚われているという彼 でも、 それら全ての行動に私は囚われていて 「ずるい」 そう幾分か拗ねたように言えば 「獅子がウサギ一匹に対してででさえ全力を出すなら、俺が一番欲しいテマリには全力以上でいくのが常識だろ？」 なんて、意味不明なことを自信満々ににっこりと言い張って 出逢った時に既に自分の心を奪われたのだというのに これ以上、全力で追い詰められたら抵抗などしようがなくて 出来ない自分がいて 好きだけど素直になれなくて つい、怒ったような、冷たいような言い方になってしまう 「なんだ、その理由は。…何回も繰り返されるとありがたみが薄れるぞ？」 「そうなのか？」 「そう！」 なんて自分は可愛げがないのか そんな事を思いながらも、口は勝手にそんな言葉を紡いでいて 自分の意志とは無関係に動く なんて天邪鬼だ ��好き" その一言が言えない自分 それが、もどかしくて そうこうしている内に見放されてしまうかもしれない、なんて考えると胸が苦しくなって そんな風に考えてしまったらもう駄目で なんて後ろ向きな気持ちだろう だから そんな気持ちを振りきるように だから 首を傾げて、ちょっと困ったように笑う彼に だから すっと瞬歩で距離を縮めて だから 唇を掠めるように奪う 「テ、テマリ！？」 滅多に見られない真っ赤に染めた顔 動揺と照れが入り混じったこんな表情、きっと私しか見た事がないだろう そう思うと心が少し軽くなる でも、同じように自身の頬にも熱を帯びていて 顔なんて見られないとばかりに視線を逸らす 甘い衝動だった 愛想をつかされるかもしれないとそう考えたら耐えられなくて 自分を付き動かした きっと、たった一言の言葉で足りたのだけれど でも、言葉に載せるのは困難なことで どうしよう そんな事を考えた瞬間、出てきた解決策はこれで それはきっと本能に似たもの 飢えていた？ 幾度となく呟かれる愛の言葉 でも、そんな言葉より何より 君のその言葉を紡ごうと思ってくれる態度が嬉しかった もう言葉だけじゃ物足りなくて 飢えがいつも勇気が足りない自分を突き動かして 「…えっと、その、だな…伝わったか？」 言葉じゃ言えないから行動で なんて安易な行動 こっちの方が勇気いると思うけど、そんな言葉が聞こえてきそうで 「ばっちり…。ものすごい伝わったし」 普段のテマリは奥ゆかしくて照れ屋さんなだけ、ね と先ほどのの照れなど微塵感じさせずに、寧ろ怖いくらい美しく綺麗に笑う 「欲を言えば、もっと欲しいってば？」 「――馬鹿」 「じゃあ、テマリのリクエストにお答えして、俺が言葉だけじゃなく、行動で示しましょう」 「じょ、冗談…」 「じゃないってばよ？」 嫌味なぐらいその美しい顔にアルカイック・スマイルを浮かべ、テマリの手を掴みと思うと引き寄せて その身体を包み込むように抱きしめた 砂糖菓子のより甘い言葉をのみこんで 偶には行動で示そう fin *****あとがき。***** こんにちは。お久しぶりの更新でお久しぶりなテマナルで更新です（笑）マニアックな…！一部からは拍手がいただけそうですが。 とりあえず、甘さを詰め込んでみて、甘い言葉を囁かせようぜ☆とか思っていて書いていたら、気にいった曲の歌詞が「言葉より行動！」でこの話を七転八倒させました（苦笑） お陰さまで一ヶ月ぐらいこの話を溜め込んでましたよ。どこにそんな悩みとこが？てな感じな話なんですけどね。 疲れているときに甘いものはいい。うん…。とか思いながら、疲れた私が書いた作品です。ハハハ。糖度高いなぁ！ では、このお話が少しでも皆様に気にいってもらえたなら幸い…。拍手ででもコメントいただけると嬉しいです。 06.04.03「月華の庭」みなみ朱木

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