こんな日だからこそ… 冷氷氷的日 「・・・・寒い」 「…そんなに着込んでてか?」 呆れたように自分を見やるシカマルをキッとナルトは睨みつけた 確かに、現在のナルトはマフラーにコート、手袋に、それだけじゃ飽きたらず、イヤーマフラーにカイロまで携帯していた 無論、服はばっちり重ね着であり、完璧に近い防寒対策を施してある それ以上望むのは高望みというものだ …しかも、ばっちりそれら服が暗部使用っていう辺りが芸が細かく、感心さえする そういえば、こいつのは火影による特注だったな、と思い出した なんという公金の使い方だ、と思わないでもないが、確かにそれは彼に似合っていて、非常に可愛らしかった 目の保養に着飾らせたくなる気持ちは分からないでもない、いやよく分かった 思わず、グッジョブ!とシカマルは心の中で火影を賞賛してしまうぐらいには、だ まぁ、そんなことはどうでも…よくはないが、今は任務前で、重要ではなかった 「ほんと、蒼輝って寒がりだよな」 「ううっ。悪かったな!」 「悪くはねぇけど。…動き辛くねぇの?」 「いや、別に?」 証拠と言わんばかりに、その格好でひょいっと軽やかに木々に飛び上がった 厚着をものともせず、普段と変わらぬ俊敏さはさすがと言うべきか 微かに木々が軋む音を立てただけだ 「さすが、だな」 「…んー、でも、ま、やっぱり夏にくらべりゃ動きづらい、かな?」 「でも、脱ぐ気はないんだろ?」 「当たり前!寒いし!!第一、それぐらいのハンデもないと楽しくもなんともないだろ?」 「…俺は一気に終わって早く帰りたいんだけどな。めんどくせーし、何しろ俺は寒い!」 お前と違ってこっちは防寒用のコート一つなんだ、とジロリと見やれば、仕方が無いなぁという表情をナルトは浮かべた 「なに、お前の得意技の狐火で周囲を温めでもしてくれるのか?」 「それは却下。それで温まるのは任務終わった時だ」 「…そ、そうか」 おそらく、それは、滅ぼした敵を燃やして暖炉代わりという事で… 正直、御免だ 人が燃える臭いを嗅ぎながらまで温まりたいとは思わないし、一瞬で灰まで燃やすか持って帰る、その2択しか選択肢などない 「バーカ。なんか、シカマルって時々抜けてるよな」 愉快そうにくすくすとナルトが笑う 任務の、蒼輝と呼ばれる時は、この今日のような冬の冷たい雰囲気を纏う彼の空気がふわりと穏やかに緩む いつも以上にもこもことした服装も相乗効果を生んでより愛らしい 「…どこがだよ」 「任務終わらねぇと温まる暇も、灯も出せられねぇって事に気づかない辺り?」 「あ…」 よく考えれば分かることで 微かな血の臭いがつく事でさえ嫌がるナルトがそんな事するはずがなかった 「ほら」 指し出された手をぽかんと見れば、またもや愉快そうに笑って そして、 ぎゅっと伝わる仄かな手のひらの温かさ 「目的地までなら支障もないってばよ?」 首を傾げて、にっこりと愛らしく微笑んで はっきりいってこれは確信犯で 口調からしてからかい半分だという事は分かっているのにものすごい威力だ 顔が真っ赤になるのが自分でもわかる …お面してりゃよかった…と思うのは仕方が無いだろう 「黒月には迷惑だったってば?」 今度は口調はそのままなのに、先ほどまでとは一変として、嫣然と微笑む様子はさすが、蒼輝だと言わんばかりに美しい 凛とした硬質な、それでいて人を惑わせるような美しさだ たった、数刻一緒にいるだけで、いくつもの表情を魅せてくれる 彼と一緒にいて飽きる事などあるのだろうか むしろ、この位置を放したくないと、そう思うのだ 他のモノ、全てを捨ててでも… 見苦しい程までに、その位置に執着している自分がいて しかも、自覚までしていて なにが、面倒な事が嫌いなのだと、ひっそりと苦笑する そんな事、思いもしない 「黒月?」 「…え?」 「どうした?」 「いや、別に。…それより、ありがたく貸していただくぜ、コレ」 握り返した手を自分の前へと引き寄せ、そっと唇を愛しげに数度落とす 「…何、急に」 「んー、やっぱ定番かなと思って。役得役得」 「なんだ、それ…」 呆れたように笑っているのに、それでも互いに離す事はない これを長く続けること事は無理だと分かっているのだけれど 「温かいな、シカマルの手。…手放しにくいってば」 それでも、こんな氷のように冷たく寒い日ぐらい その間だけでも こうやって君を手放さずに触れ合いたい fin *****あとがき。***** こんにちは。WEB拍手より再録です。 忙しい中、気紛れに息抜きに書きましたシカナルです。 冬の話にいのナルはあってもシカナルがないっ!?というワケで、シカナル。 付き合ってはいないのだけれど、口には出して想いを言えないのだけれど、ラブラブな二人な感じで。 05.12.21「月華の庭」みなみ朱木 |
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