冬去り春が来て
空は雲一つない晴天
気温も温かく、昼寝にはもってこいの、そんな日




















「歩くのすらめんどくせぇ…」



思わず口癖を口走ってしまった
しかたあるまい、もうこの3日間ぐらい録に寝る事もできず、馬車馬のように働かされたのだ
労働基準法に違反してる!と訴えようにも、そんな法は忍にはないもどうぜんで
特に火影直属の部下である暗部になど認められるはずがない
なにしろ一番の権力者がにっこりと笑顔で判決を下してしまうのだ

昔はまだよかった
表向きは下忍だったのだから、二重生活を強いられようともなんとでもなった
しかし、中忍にもなれば必然的にレベルと責任が増えてしまうのだ
無論、そんなレベルなどシカマルにとっては取るに足りないものではあるが、如何せん、裏の任務は裏の任務
僅かながらの疲労が溜まりに溜まり現在に至るのだ
ぶっちゃけているのなら、ストレスとやらでキレそうだった
いや、実際にキレ、「ぜってーにもう俺は休む!」と宣言を噛まし、疲れた体を引きずりながらも森へと向かったのだった




そして冒頭へと話は戻る

なぜ家ではないのか?

簡単だ
アイツがいない
人手が足りないんだとかなんとか人を上手く言い包められ、違う任務を押し付けられ、その処理に追われ、片腕であるべき俺がだ、なんと、もう、この一週間あっていないのだ



「…マジ、ありえねぇ」



寧ろ自分を褒めてやりたいと思うほど、これでも持った方なのだ

疲れてはいるが、足と身体と心は彼を求めて森の中を進む
春が訪れたこの時期、この禁忌と忌み嫌われている森でさえも幾分か華やかだ
でも、それよりも、なによりも…



「ナル、ト…?」



少し木々が開けた場所
いつもの彼のお気に入りの白い花の樹の下ではなく、珍しく彼は他の樹の下にいた
桜の樹だ
その樹の下の青緑鮮やかな芝生にその身体を横たわらせ
蒼く輝く瞳は今は瞼で隠され、長く金色に縁取られた睫毛はそよりとも動かない
ただ、眩しく太陽のような黄金色に輝く髪だけが、微風に吹かれてさらりと揺れる

精巧な人形のよう

一緒に木々を揺らし、薄桃色の花びらがひらりひらりと舞い落ちて
彼の上へと雨のように降り注ぐ

まるでそれは1枚の絵画のように幻想的で息を飲むほどに美しい



あまりにも儚げで消えてしまいそうな気がして
触れるのが怖くて
でも、ただ、微動だにせず眠る彼を見ていられなくて
そっと近づいて
そっとその頬に触れる



「…ん…?」



気だるげな声
瞼が振るえ
蒼い宝石が微かに相貌を表す



「シカ、マル…?」



自分の顔をその瞳で認めると、穏やかに頬を緩ませて
その声で自分の名を呼ぶ
きっと、これは、俺だけの特権で

それだけで、
不安も
疲れも
全てが吹き飛んで





…というのは、少し嘘
やはり身体はクタクタで…



「おはよう。で、おやすみ。俺はもう限界だ…」
「…え?」



髪を梳くようになぜ、花びらを取り除き、ついでと言わんばかりに額におやすみのキスを贈ると、芝生へと倒れこむように身体を下ろす
そして、身体をナルトの元へと寄せて瞳を閉じた
意識が夢に落ちていくその過程で、どこか呆れたように微笑みながらも、彼が寄り添う温かい体温を感じた





温かい日差し射す青空に満開に咲き誇る桜の花
雨のように花びらが降り注ぐ中
二人は穏やかに幸せそうに眠る












fin







*****あとがき。*****
こんにちは。お久しぶりに特別企画以外での拍手更新。シカナルです☆
よ、ようやく春らしい更新できたよ…!(涙)桜です、桜。こう、桜の花びらで出来た絨毯を見て思いつきました。
それ以外のいつも以上に甘い行動は、きっと私が疲れていたからでしょう。衝動ならかけるんだよ、ラブいのも!!(誇っていうな)
…しかし、シカナルですが、シカナルいの設定(?)なので、恐らくこの数時間後、いのが来襲し、シカの鳩尾に容赦なく蹴りを入れるでしょう(笑)「あんたという奴は、油断したらこれかー!!ナルトから離れやがれ!!!(ドカッ、ボコッ)」てな感じに。ぷっ。(歪んだ愛/笑)
感想ぜひください。

06.04.11「月華の庭」みなみ朱木


以上、拍手掲載時のコメントです。
ちなみに、後日に「タンポポと晴れと彼の」でこの続きを書いてしまいました(笑)
では、このお話が少しでも皆様に気にいってもらえたなら幸い…。拍手ででもコメントいただけると嬉しいです。

06.08.05 再掲載。





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