君と過ごす時間が何よりも大切だと感じる
俺の世界は君だけでできている…






天と地








「おー、寒いと思ったら雪が降ってるぜ」
「そういやぁ、新聞にそんなことも書いてあったな…」
「家出る前にそれを言えよ。傘無いぞ?」


灰色に染まった空から、白い粉雪が舞い降りて道路に微かに積もる
どんどんとアスファルトは白く染まってゆく


「寒い…」
「はいはい」


ぼそりと不機嫌そうに不満を訴える天国に沢松は苦笑しながらカイロを手渡した
しかし、天国は喜ぶでなく、その沢松の行動にムッとした


「違うだろーが。手ー」
「…まだ明るいぞ?」


珍しく積極的な彼の行動に驚いた
いつもならこういうのは嫌がるのだ
俺がわがままを言ってしぶしぶOKするぐらいで、今日のように、雪が降って曇ってるために、周りは薄暗いとはいえ珍しかった
彼の意図が見えず、しばし考え込んでいると天国が怒りだした


「なに?俺じゃ不満なワケ??」
「いや!嬉しいって。でも、お前、いつもは嫌がるだろうが」
「いいんだよ。今日はクリスマスだしな、特別!プレゼントだ、プレゼント」
「…そりゃー、ありがとう」


ありがたく、天国の手を受け取り、自分のコートのポケットへ突っ込んだ
冷え切った彼の手に、なぜここまで冷えてるのに気づかなかったのかと聞こえないように軽く舌打ちをした
暖めるようにぎゅっと手を握り締めると、隣の天国が微かに笑ったような気がした


「早く帰ろうぜ。夕食の用意、まだ終わってないんだよ」
「だな。…お前の料理は上手いからな、楽しみだぜv」
「沢松のも美味いと俺は思うけどな…」
「まぁ、その辺の奴よりは料理の腕は上だろうな。でも、天国のはめったにお前がやる気を出さない分、“貴重”ていう価値が付くんだよ」
「確かにそうだけど、つか、そんなこと言うと、もう作らねーぞ」
「悪いって!美味いのは本当なんだし、機嫌直せって、な?」


慌てて謝った
天国が本気で怒っているわけではないということは分かってはいるのだが、ここで謝る謝らないでは今後の彼の態度が違うことも理解しているからだ


「なんでもするから!」


その俺の言葉に天国はニヤリと笑った
つまり、俺は彼の策に見事に嵌ったということで
まぁ、結局はいつも彼のお願いを聞いてしまう、甘い自分がいるのだから大してかわりはしないが…
それを知っている天国が、ここまでするお願いにゾッとする


「あ、言っておくけど、取り消しはなしだからなv」


微笑する笑顔にやっぱり綺麗だ見惚れつつも、言葉の内容が怖い
というか、トテモ気になった


「コレ。ヨロシク!」


カタコトの日本語でにこやかに手渡されたものは…


「っ、おい!天国!!これって…」
「…そう、華武からのクリスマスパーティーの招待状デス」
「げ…。おい、俺にこれをどうしろと…」


手渡されたカードがどう考えても醜悪なモノにしか感じない
…本当に、これを俺にどうしろと言うんだ(汗)
あの強烈な人達の相手を変わりにしてこいとでも言うのか?


「いや、さ、早めに断るとこいつらなら学校までやって来そうだろ?で、そのまま…」
「放置してたんだな…。で、自分じゃ嫌だ。俺に断れ、と」
「家に来ないようにな」


笑顔で話すこの子悪魔に、ふぅとため息を思わずついてしまった
いや、普通ならつくだろう
うん


「ゼンショ イタシマス」


そう言って、意思を固めると、この招待状を一気に縦に真っ二つに引き裂いた


「おぉ、強気だな」
「当たり前だろ?俺とこの日を過ごすのは決定事項だしな」
「…うん」


そう、
邪魔なものなどいらない
永遠に、この先も、ずっと二人でいたいと思うから
もう、ひとりでは生きていけなくて、君が隣にいない生活など考えられない
だから、君とずっと一緒に生きていこうと誓おう

そのためになら、少しぐらい?の苦労は仕方ないだろうと思う
なにせ、天国は無意識のうちに人を惹かれさせる力を持ってるのだ
本当に厄介な体質だ


「急いで帰るぞ」


歩く速度を速めた
早く君といつもと変わらぬ穏やかな時を過ごしたいから、とっとと嫌なことは終わらしてしまおう
その後には君との素敵な時間が待っている


「早く、一緒に楽しく過ごそうな」


そんな俺に君は笑って、俺に甘い誘惑の言葉を耳元に囁く
それだけでやる気が倍増する

君は俺の活力のモト

二人で雪の寒さなんか忘れたように、お互いの温もりを感じあって
穏やかな微笑みを携えながら家路へ急いだ



君と早く甘い時を過ごそう
Merry Xmas!











****あとがき。****
こんばんわー。めりくり〜v恐らく、今年最後の小説です。やっぱり締めは沢猿で!
企画としての小説は体調不良により断念せざるえなかったので、ちょっとした身代わりですv
華武からの招待状がその名残です(笑)アンケートでクリスマスを過ごす相手が華武だったので。ぐはー!
実は私の誕生日もクリスマスなので、これは自分への誕生日プレゼントでもあったりv(笑)沢猿熱愛です!!らぶです!!!
あ、タイトルの「天と地」とは地球をさす&実は天国と地獄をかけてもみたり(笑)ほら、彼には厄介なことがまってますから!大変よねぇ。濃い人達に天国さん、狙われちゃってるからネ(笑)
突発的に書いたものなんで、所々びみょーなところがありますが、ご勘弁を★

このようなものが、少しでも貴方の心に留まったら幸い…

03.12.25 「月華の庭」みなみ朱木



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