きらきらと眩しく光る
脆く、儚く
しかし、常に美しい…









glass












いつものように整然とした部屋の中で二人っきりの夜
俺は写真雑誌を捲り、天国もどこかの小難しい論文を読書中だった
いつもと変わらない日なのに、ふとを不安になる
隣にいる、分かっているのに、いなくなってしまうんじゃないかと
そっと天国の背中にもたれた
あたたかい
その温もりにほっとする
彼はまだ俺の傍にいる…


「どうした?」


パタンと本が軽く音を立てて閉じられた
もう読み終えたのだろうか?
相変わらず読む速度が早い奴だ


「なんでもねーよ」
「そうか?」


眼鏡を外しながら訝しげに天国は俺の表情を覗き込んだ
外された眼鏡によって顕になったその容貌は、相変わらず美しい
が、じっと見つめられるその視線は「とっとと吐け」と言っている
でも、本心を伝えるのは恥ずかしくて、誤魔化すように笑った


「そう」
「…ま、お前がそう言うならいいけどな」


不貞腐れたように拗ねるその姿を見てくすりと笑った


「なんだよ」
「いや、可愛いな、と思って」
「…怒るぞ」


いや、本心だし
と、思わず言いそうになったが、なんとか押しとどめた
言ったら、きっと今日、一日中、ご機嫌が麗しくないだろうことは容易に想像できる
それはちょっと避けたい

彼のこんな表情は俺にしか見せないことを俺は知っている
他の誰にではなく、俺にだけ素の彼を見せてくれる事を
何よりもそれが嬉しい


「お前は…、いや、何でもない」


それでも、不安になる
誰よりも、俺のことを信じてくれて
唯一の大切な人だって
愛してるって
その言葉を信じている、信じているけれど

でも、人の心など、永遠に縛りつけておけるものではなくって

上辺の笑顔だと、態度だと分かっていても、
色んな人間に囲まれて、楽しそうに笑う彼の姿に不安を覚える
いつか、いつか、俺の元から去っていってしまうんじゃないかって
誰にもお前を渡したくなかった
でも、この感情を表に出すことなど出来なくって
それが酷く歯痒い
独り占めしたい、そんな気持ちが強いのに
この気持ちを素直に伝える事ができない
醜い感情が、彼を汚してしまうようで…


「俺はお前しかいらないからな…」
「え?」
「どうせ、そんな事だろ?お前が俺に内緒で悩む事なんてさ」


…バレテマスヨ、サワマツサン
つーっと背中を冷や汗が伝う
どうして、すぐ考えていることがばれるんだろうか
が、そんな風に思うと同時に、彼のその言葉が心に染み渡るようだった
未来なんて不確かなもので
絶対なんてありえないかもしれないけれど
それでも、
"オマエシカイラナイ"
その言葉が嬉しい


「それでも、俺にだって、不安になることだってあるんだよ…」


そんな弱気な俺の言葉に、天国はちょっと困ったように笑った
いや、困ったというより、呆れたというべきか


「馬鹿だろ。お前しか必要ないのにさ。…俺にはお前しかいないのに」


解れよ、
そう言う様に、手を首に回され、ぎゅっと抱きしめられた
微かに伝わるその温もりがとても愛しい


「俺の台詞だぜ、それは…」


俺の方が、彼しかいらないのだ
他の誰でもない、
彼だけ
彼だけで十分で
俺の全てだった


「…俺にとって、お前はガラスなんだよ」
「は?」
「ガラスって、特にグラスなんてものは、繊細で、綺麗だろ?そして、脆くもある」
「そんな風に見られてるのか、俺?」


天国は見るからに不満そうな表情をしてる
まぁ、脆いとか言われて嬉しい奴もいないだろが
でも、ガラスは、キラキラとしていて、まるで宝石
砕けてもなお、美しい存在で…
まさに、彼だと思った


「だからこそ、傷つけないように、大切に、ずっと閉じ込めていたい…。…本当に、独占欲が強くて嫌になるよ、俺自身」


そんな俺を笑うか…?
沢松は少し自嘲気味に笑った
しかし、反対に、天国は艶やかに微笑んだ


「なら、ずっと傍にいろ。俺だけを見ていろよ。俺だって、お前が、誰かの傍にいるのを見るのは嫌、だし…。お前にだけなら、俺は独占されたいと思う。例えそれが、幾重にものケースに囲まれ、大切に飾られているグラスのようでも…」
「天国…」


恥ずかしいことを言わせるな、とばかりにふぃと横を向く
微かにその顔は赤い


「大丈夫だって。俺にとって、お前だけが特別で、大切なんだからさ…」
「そんな事、俺は前からわかってる」


その少しも疑わない彼の返事に微かに笑った
そして、ご機嫌をとるように額に軽く触れるようなキスを贈る


「2度と、こんな馬鹿なことで悩むなよ?」
「心得ました…」
「よろしい!」


満足げに微笑む天国を再度、抱きしめ、その温もりを確かめた…










光に透かしてきらきら
幾重にもの色を纏い
綺麗で、脆い
その欠片に触れれば切れそうで
なのに常に美しく、誰をも魅了する

まるで、君のようだ

君が望むなら、ずっと大切に飾ろう…

















****あとがき。****
えっと、glassで沢猿です★この作品は相互の記念品として、愛する神原様に捧げますv
「闇猿または眼鏡猿の沢猿」でしたっけ?そのようなリクエストでしたが…、えっと、あの、こんなに短い作品でごめんなさ〜い(泣)し、しかも、闇も眼鏡も微妙だしι
と、とりあえず、す、少しでも、沢が天のことをいかに好きで、天が思ってる以上に俺は好きなんだぜ★みたいなのが伝わっていれば幸いです…。どこにそんなものが?!(死)
と、ともかく、相互リンクありがとうございました!これから、どうかよろしくお願いしますv
返品、書き直しOKなんで、嫌わないでくださいネ!!









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