Midnight desire   ―Sample―





3.確かでないモノ より一部抜粋





 あれから数日、シカマルは傍にいれる限りナルトの傍を付いて回った。いや、傍にいるのは常の事なのだから、正しくはより引っ付いて回ったというべきだろう。もちろん、夜も自分の家へ帰らずにナルトの家へ行き泊まりこんでいる。
 その成果というべきか、なかなか寝付けないようではあるが前よりは睡眠を取れているようだし、すっかり元通りとはいかないまでも食事を無理にでも取らせたお陰もあって少しは体調もよくなっているようだった。
 けれども、日に日にナルトの機嫌はそれに比例するように悪化している。今や底辺を這うどころかのめり込んでいるほどで、気心を知れている人であっても「触らぬ神に祟りなし」と言わんばかりに避けている。
 シカマルとしても機嫌はそれほど良いわけではない。愛する人と一緒にいれる時は至福といっていいのだが、最初はともかく日に日に鬱陶しいという態度を取られれば傷つくというものだ。
 その上、久しぶりの連休も昨日で終わり、今日からまた任務の日々だと思うと何とも億劫な気分になる。何より、どう手を回したのか蒼輝とは別々の任務になっているのが気に入らなかった。
 確かに内容的には別々になってもおかしくは無いものだったが、このタイミングでのこの采配は裏の意思が感じられた。恐らく、ナルトに甘い火影が請われるがままに決めたのだろう。
 短期ではなく中短期という少し長めの期間離れていなければいけないのも酷く気に入らないが、しかし、上が決定した事に拒否できるはずもない。こうなればシカマルが出来ることと言えば耳に胼胝が出来るぐらいに体調管理について言うことと、最速で任務を終わらせる事ぐらいだった。



 任務は滞りなく順調に粗方終わった。後は簡単な事務仕事ぐらいで、手早く終わらせてしまおうと筆を颯爽と紙上で走らせる。その時、同じ任務に付いていた男が集中力が途切れたのか休憩にお茶を入れて一息ついたかと思うと、そういえばと前置きしてシカマルに問いかけてきた。


「――なぁ、知っているか?」
「何をだ」


 主語もなく知っているかと問われても答えられるはずもない。しかし、この口ぶりではかなり市井では出回っているような様子を受けるが、生憎とこの男とは過去に数度、蒼輝とは別の任務を言い渡された際に一緒に組んだことがあるだけで趣味思考をよく知っているわけではないが、シカマルが認知している範囲内でこの男が興味を持ちそうな内容に合致するものに心当たりは無かった。
 早く帰りたいシカマルとしては私語に付き合って任務を終わらせるのが遅くなるのはあまり喜べたことではないのだが、それでもこういった仲間との会話の中にも有効な情報が紛れ込んでいたりするのだから無下には出来なかった。
 特にナルトと縁を深めるようになってからは彼を殺そうと狙う者たちの情報を逸早く手に入れるために周囲にアンテナを張っているぐらいだ。その殆どが無益なものだが、時として紛れるようにして金にも等しい情報が埋もれているものだから油断ならないのだ。

「その様子じゃ知らねぇな? ――最近、コレが里に出るらしいぜ?」

 コレと言いながら男がシカマルにやって見せた姿は胸元で両手首をだらんと前に垂らしたものだ。――つまりは。





…と、こんな感じのお話です。3章の最初の部分を抜粋して掲載させていただきました。
全体的にシリアス目なお話です。

年齢は原作時の第一部中期ぐらいの三代目ご存命辺り。といっても、二人の年齢的な感じなものなので、原作の進みとまったく関係はないです。
もちろん、スレナル。
シカナルは恋人設定。しっかり恋人設定(重要なので二度いいました/笑)
蒼輝、黒月ですが、シカナルいの設定ではないです。まったくの別設定。(敢えて言うならサイトにある「作品的時間軸+設定説明」での*2設定)
一応、「Twilight glory」の後日のお話ではありますが、ほぼ関係ないのでこれ単品でも充分読めます。設定が引き継がれているだけです。


オリジナル設定、特殊設定が苦手な方はお気をつけください。




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