月華の庭 〜first〜



国によって信仰とは違うものである。

ちなみに、このルーン国は月を信仰していた。

いな、月というよりは月の女王であるユイ・ユエとも言えるだろう。

それゆえ、女王が慈しんだと言われている月下美人がこの国中に咲き誇っていた。

もちろん、月下美人というのは一夜かぎり咲く花であり、めったに見られるものではなかったが、それでもたった。

一夜の為にでも女王を讃えるこの花を育てていない家庭はなかった。

その月下美人の花が一斉に咲き誇るその様は夢かと思うほど美しく、幻想的なことで有名であり、その季節には国中は観光客で賑わっていた。

他にもこの国にはまだ、ある特徴がある。

時々生まれながらにして「銀」を持って生まれてくる者がいるということだ。

銀の髪、銀の瞳、銀の爪…etc

いろいろな「銀」があり、それを持つ者は「月の愛し子」と呼ばれ大切に育てられていた

ともかく、この国が月の真下に見えることや、このような理由もありこの国は「月下」とも呼ばれていた。

この月下にはある有名な伝説がある。

伝説といわれるくらいなのだから今では確かではない。

それでも、この国には歌と共に根強く伝えられていた。

今日も吟遊詩人は美しき声を高らかにこれを謡う

《月華の庭》の伝説を…




月下であり月下ではないその場所

この世の場所とは思えないほど美しく

月下美人が一年中咲き乱れている

そこに住む美貌の主は全ての銀をまとう愛し子よ

我らを癒したまえ

我らを救いたまえ

月華の庭にたどり着きし我らを…





はたして、この歌の通りに《月華の庭》があるのかどうかは分からない。

見つけた者のみぞ知っているのである…




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