「ねぇ、健ちゃん?」
「んー?何だ、天国…」
「かくれんぼしない…?」























「じゃーん、けーん、ポン♪あ、健ちゃんが鬼ね!」
「ん。じゃぁ、30秒数えるから、天国はそれまでに隠れろよ?」
「まかせて」



得意そうに胸を張りながら答える天国に沢松は笑った
確かに、隠れることは彼の得意分野
きっと、俺以外には探し出す事など無理で
天国は、そんな自慢さえできそうな気がするほど隠れるのが上手かった
そして、俺は、そんなアイツを見つける事が得意だった



「いーち、にーい、さーん・・・・・」



沢松の声がひっそりとした神社の境内に響き渡る
天国は彼に気づかれないような場所を見つけてにんまりと微笑んだ
誰にも見つかれない自信があったのに、いつも、どうしても沢松だけには見つけられてしまうのだ
所詮、かくれんぼなんてお遊びだ、と思ってはいるのだが、今度こそは!という気持ちに天国は燃えていた



「・・・・じゅーく、にーじゅー」



遠くから微かに聞こえる沢松の声は、既に残り時間が少なくなったことを告げていた
慌てて、身を隠す
慎重に、痕跡を残さないように気をつけて
息を潜めて、気配を無にする
暴力を与える事しか能がないような母親から逃げるために覚えた特技で



「・・・さーんじゅっ!もーいーかい?」



数え終え、鬼のお決まりの文句を言うと、周りに耳を傾けた
あるのは境内の木々のざわめきのみ
答えがない、ということは、天国は既に隠れたということで
沢松はかくれんぼのスペシャリストである天国の行動パターンを考えた
でも、毎回、回を重ねる事に難易度が増していく隠れ場所が直ぐ思い当たるわけがない
とりあえず、ゆっくりと一周してみることにした



「…いない」



というか、見つからない
さすがだなぁ、と思う反面、どうしようか、と思い巡らす
場所は神社の境内
まぁ、家の中なんていう隠れ場所が豊富な場所とは違って隠れれる場所なんて限定されてる
ということは、片っ端から調べ尽くすしかない



「…うわぁ、大変だ」



そう思うも、彼を見つけなければゲームは終わらない
それに、見つけたい



「…頑張るか…」



のろのろと重い腰をあげた












「…見つかんない…」



とりあえず、しらみつぶしに探してみたのだが天国の姿は見当たらない
…まさか、穴ほってとかはないよな
なんて馬鹿げたことまで考えてしまった
まぁ、こんな短時間に掘れるわけないのでその案は却下だが
そんな内にちょっぴり日が傾いて、そして周りを満たす静寂がなんだか淋しくって


でも、
傍らに君がいない
それが俺には一番淋しい



「おにごっこしてるだけなのに…」



そんな自分に苦笑した
どうやら、かなりの天国依存症っぽい




「…っ、健ちゃん!!」
「うわぁっ!!」



急な背後からの衝撃に地面にご挨拶しそうになる
それをなんとか、食い止め文句の一つでもいようとした
が、出来なかった



「健ちゃんのバカっ!」



天国の顔は今にも泣きそうで、ここ最近、ようやく見忘れた表情
ぎゅっと自分にしがみつく姿に我にもなくオロオロしてしまって

何故、隠れていたはずなのに急に出てきたのか
何故、そんな表情をしてるのか
何故、俺がバカと言われなきゃいけないのか

とか、そんな事ばかり頭の中をぐるぐるまわって



「あ、天国?」



とりあえず、抱きしめて、宥めて
そうして、ようやく落ち着いてくれて



「どうした…?」
「…見つけてくれなかった」
「まだ見つけれなかっただけで探してたよ?」
「でも、見つけてくれなかった…。いつも見つけてくれるのに…!」
「だって、天国の隠れ場所、毎回高度になってくんだよ。難しいから直ぐにはみつかんないよ」



だから、ごめんなと頭を撫でる



「…俺に見つかると機嫌悪くなるのに」



俺のつい、ポロリとでた言葉に天国の顔は赤くなる



「うっー、でも、健ちゃんは見つけてくれなきゃ嫌なの!」



ちょっと拗ねたように怒る天国が可愛くって
そして、俺はってとこが嬉しくって
笑った



「うん、見つけるよ。天国が相手なら見つけるよ。どこでも、どこにいても」



ちょっと時間かかるかもしれないけど、
なんて言ったら
「…なら、待つ」
ってちょっと不服そうに、でも、嬉しそうに笑った

きっと、こんな表情を見せてくれるのは俺にだけで
俺だけの特権
誰にも渡したくない、渡さない



「ずっと、一緒にいよーねv」
「うん」



夕日が沈みゆく中、お互いの手をぎゅっと握り締めあって
その暖かさを感じながら
ゆっくりと家路に向かった





何処にいても君を探し出すよ
でも
ずっと俺の傍にいて?
今日 この時を
俺は忘れない













****あとがき。****
モノカキさんに30のお題より、NO.3「鬼」です♪
ずいぶん間があいてしまった…ι
鬼といえば鬼ダチである沢と天の話ネvということで沢猿です!しかも幼少期vうぉー!萌ですよ、萌vちまいお二人を想像するだけで萌ますねー。可愛えぇv口調に困りましたが。今とは違うだろーなーってことで曖昧。まぁ、気にするな!(爽)
お二人は昔かららぶらぶです(笑)こんな関係大好きよーv

03.08.25  月華の庭  みなみ朱木





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送