いつまでも二人で










「ナールートv」
「…」
「ナ・ル・ト!」
「…何?」
「ナルト〜?」
「…ふぅ」


何度目かの呼びかけに諦めたのか、読んでいた本をパタリと閉じ、こちらを向いたナルトに、いのは満足そうに笑った


「やっと、こっち向いた」
「…何の用なんだ、いの」


その表情には不機嫌さが垣間見える
でも、いのはその表情に再度、嬉しそうに笑った


「いの?」
「やっぱり、素のナルトが一番カッコイイ!」
「…それはどうも」
「あ、もちろん、どのナルトも好きだけどねv」
「…もの好きなことで」

振り向いた事に少なからず後悔したナルトは、再度本に向かおうとする
が、それを察したいのがそれをいち早く取り上げた
こういう時ばかり反応が早いのだから困る
これを普段生かして貰いたいものだ


「返せ」
「だーめ」
「…力ずくで取り返すぞ」
「ずるい!ナルトが本気だしたら勝てないに決まってるじゃない!!」
「じゃぁ、本」


凶悪に綺麗な笑顔で手を差し出すナルトにいのはしぶしぶと手渡した


「もう帰る」
「駄目」
「なんでよ!相手にしてくれないなら居ても居なくても一緒でしょ?シカマルのトコに行く!」
「なおさら駄目だ!」
「なんでよ」
「なんでもだ!」


ぷぅと顔を膨らませるいのにナルトは仕方が無いといった様に笑った


「何か用があるんだろ?」


いのの髪をナルトはさらりと撫でた
艶やかな彼女の長い髪は、彼の指に心地よい感触を与える
思わず頬が緩んだ
キレイだと、純粋にそう思う
しばらく、宥める様に梳いていると、その行動にいのは直ぐに機嫌を治した
ただ、構って欲しかったのだけなのだ
折角、久しぶりに任務がない休暇なのだ
本ばかりではなく、自分を見ていて欲しかった


「えっと」
「何?」
「えっと、ナルトはさ、永遠って信じる?」
「信じない」


即答されたその答えに、いのはやっぱり、と悲しげに顔を歪ませた
分かっていた
初めから
どんな答えが返ってくるかなんて
彼は、基本的にそういう類の言葉を嫌うのだ
それを思うと、ナルトが自分の事を好きだと言ってくれたのが嘘に思えてくる
自分のアタックが執拗で、それを避けるために言ってくれたのではないかと、そんな風に思ってしまう
そんな事はない
そう思うけれど、どうしても、心の底で信じきれていない自分

それが、悲しい



「泣くなよ」
「泣いてない!」
「嘘つき」
「意地悪っ」


涙がぽろぽろ零れ落ちて、頬を伝う
泣きたくなんかないのに
見せたくないのに
どうしても止まらなくて
必死に堪えて
涙を拭う
それでも涙は零れおちつづける


「ゴメン」


そっと触れる手の温もりが残酷な程暖かくて
さらに涙が零れて

謝らないで
偽りだったと、そう感じてしまうから
悲しくなるから


「でも、俺は永遠なんて信じれないんだ。いつかは壊れてしまうものだと思うから」


その言葉に顔を上げた
ナルトの自分を見つめる眼差しは真剣で
しかし、言葉の内容とは裏腹にどこか暖かいもので


「いのの事、好きだよ。
ちょっと強引なところが面白いし、へこたれないし、でも、努力家で可愛いし。
なにより、俺の事が好きだっていってくれるような希少な女だし。
出会えてよかった、そう思う。
でも、永遠だなんて約束はしない。できない。
信じていないものを約束するような事なんてしたくないから。
永遠なんていう、嘘臭い言葉なんて嫌いだ」
「褒めされてるのか、貶されてるのかわかんない…」
「褒めてんだよ」


くすりと笑いながら髪を梳くように撫でた
優しく触れる指がくすぐったくて
泣きそうな表情のまま、一緒に笑った

嘘みたいだから嫌い
だから約束なんてしない

優しいから
ナルトが優しいから出てくる言葉で
理由を知って、なんだか安心して、嬉しくて
しかし、どこかこんな事で泣いてしまった自分が悔しくて

信じきれていない
理解しきれていない
そんな気がして…

なんて馬鹿な自分だろう

こんなにも優しい人なのに
彼はどんな立場であろうと、自分が納得しない事に頷くなんてしないのに…
よく考えれば分かること
それでも、自分の心の弱さに負けてそんな事を考えてしまうなんて
…ホントにバカだ

そんな時、そっと頬を指でなぞるその手が慰めるように動く
人の気持ちに人一倍機敏な彼だから

やっぱり大好きだ、そんな気持ちで心がいっぱいになって
胸が苦しくなる


「一生傍にいられるかわかんない。
危険な任務なんていつもだし、自分の立場が立場だし。
それでも…、いられるだけ一緒にいる。いたい。
それだけは約束するから…」
「…うん」
「だから、泣くなよ。…困るんだ、いのが泣くと。慰め方なんか、わかんない。それに…」
「それに…?」


ちょっと困ったように、照れたように笑う
初めてみるような表情で
泣くと困る
そんな事、いつも冷静で他人には冷たい態度を取ってる人だから新鮮で
可愛くて
あぁ、なんて愛しい人なんだろう
愛しさばかりが募る
ますます好きになる


「いのは笑った表情が一番可愛いから、さ」


照れ隠しのように、額にそっと口付けが降りる
なんだかくすぐったくて、嬉しくて、笑みが零れた


ずっと貴方のそばにいた
だから
永遠なんていう言葉じゃなく
いられる限りと貴方に誓おう

いつまでも二人でいたいと
そう願うから



「大好き」



いつもみたいに抱き付いて
微笑もう
貴方がずっと傍にいたくなるような
目を離したくないぐらい、いい女になるから

でも、とりあえずは…

貴方の隣で笑っていよう
可愛いと言ってくれた微笑を湛えて









*****あとがき。*****
今日和。お久しぶりです。モノカキさんに30のお題「永遠」よりいのナルですvえ、ナルいのだろうって?あははーιまぁ、どっちでもいいじゃないですか!
えー、好きです。いのナルが。いのちゃんが可愛くてしかたありません。ナルトをタジタジさせるのは彼女しかいないと信じてます(笑)後は寧ろ弄ぶ…(爆)
今回は愛するお友達の流衣ちゃんに捧げます。スレナラー&いのナル愛好家友達です。万歳☆今後も布教してこうぜー!イエイ☆
恥ずかしい話を書いてしまったよ…。いえ。いつもですが。人の事を言えないくらい甘くて倒れそうです(笑)
では、このお話が少しでも皆様に気にいってもらえたなら幸い…

04.8.11「月華の庭」みなみ朱木





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