なんて罪なヒト…











guilty














「テマリ!」
「ナルト…。元気そうで嬉しいぞ」
「それは俺の台詞だってばよ?」


ちょっとからかう様にドベの振りをしながら、そしてくすりと笑いながら可愛げに首をちょこんと傾げてみせた
からかうな、という非難の声に冗談だ、と今度は素で笑い、
以前よりも美しく育ったテマリにナルトは微かに相貌を崩した
仮面を被ればいつも笑顔ではあるが、普段はクールというより皮肉気に笑っている彼には珍しい事で、機嫌がいい理由は一目瞭然である
それに気づいたテマリは少し照れくさそうに笑い返した


「あ、ナルト、でいいのか?」
「この格好みればわかんないってば?只今アッチの仕事はお休み中。そろそろ…表で動かなきゃなんないからな…」
「お前も、大変だな…」
「それを言ったらテマリだってあの弟の事で苦労してんだろ?」


二人で顔を見合わせてクスクスと笑う
久しぶりの再開だった
里の存亡の危機により、ドベのナルトもレベルアップしなくてはいけないという理由で修行を兼ねた旅に出なければならなかったからだ
と言っても、ナルトが元より修行などいるなどという程度の低いレベルではない事は(偽りの)師匠である自来也も自身もよーく分かっているので、
結局はひっそりと暗部の長期任務を重ねていた旅であったが…
さすがに、唯の欺くためだけの理由で二人を里から出すほど綱手ばーちゃんは甘くもないし、馬鹿でもない

別に元よりこの里になど特別な感情を抱いてはいないので、離れる事に些少の不安も抱きはしなかったが、テマリとさらに逢えなくなる事だけが不満であった
というか、害虫が何かしでかすんじゃないか、というのが一番の不安で

好きだけど、付き会ってるわけではなくて
だから余計に心配で
第一、他の事には鋭いくせに、自分の事には鈍感なのが…

ほんと、そこも可愛いのだけれど厄介だ


…とりあえず、こうしてカカシとシカマルには気を付けろと釘をさして泣く泣く旅立ったのだった
無論、前者は自分の目の届かないうちに危害を加える恐れがあったし、後者は手を出さないようにという予防策
シカマルに脅しをかけておいたら必死に「俺がお前の気に入らない事をするかと思うか?!寧ろ、他の害虫除けだ、めんどくせーが」と弁解された
それはもう、必死に
里の同世代で俺の事を知っているのは彼だけであり、それは何よりも彼への信頼の証である
信じない事もないが、テマリは意外とシカマルの事を気にかけているので信じきれないというのが真実だ
カカシがお前も報われないねぇといった同情じみた、否、ざまぁみろ、といった視線に珍しくもシカマルがブチぎれたのは気にしないようにしておこう
何も深く知って嫌な思いをすることはないのである


「背、少し伸びたか?」
「あぁ、うん。わかるか?ていっても、まだテマリには適わないけどね。…ま、俺の成長期はまだ先だから?すぐに抜かすさ」
「ふむ、そうかもな。それは…なんだか…ちょっと…嬉しいような…気に喰わないような…」
「なんで?」
「…それは…」
「それは?」
「…ううっ、なんでもない!」


覗きこむように問いかければ、なんでもないという言葉とは裏腹に逸らされたテマリの顔は微かに赤く染まっていた

きっと、その意味することは、自分の望む答えで
言葉で聞かなくても
彼女の、
テマリの意志が強く、澄んだ瞳はその言葉を能弁に告げていて


その様子にナルトは相貌を崩す


甘い、甘い表情
見るもの全てを虜にするような微笑
これを出されたらもう、両手を挙げて降参しかない


「ま、そういうところも好きなんだけどね?」


さらりと添えられた言葉にさらに赤く染まった顔でしゃがみこむ


「…ナルトって…時々恥ずかしい言葉を恥ずかしげもなく言うよな…」
「テマリ限定だけどねv」


あぁ、もう!黙れ!!という声に思わず声を立てて笑ったナルトはテマリからギロリと睨まれる


「あぁ、でも、テマリの期待に残念ながら添えないな。…俺ってば、早く抜きたいんだってばよね?」


冗談めかしたナルトの口調にテマリは訝しげに見つめる
ナルトより少し上にあるその美しい瞳がどういう意味かと問いかける


「分かんないってば?」
「…あぁ」


尚も、おどけた様に問いかけて
テマリが頷いて、気を抜いたその瞬間を

狙って…



ちゅっ



「こうやってキスしにくいだろ?背が小さいとさ」
「ナ、ナ、ナ…」
「ん?なに?」


驚いて、驚きすぎて、今まで以上に真っ赤になって、手で顔を隠すテマリに意地悪げに微笑む
普段は姉さん気質で、クールで、自分の大事なもの以外にはどこまでも残忍で
それでも、年相応にこうやって微笑んだり、照れたりして
だから可愛くて、愛しくて…


「…分かってるくせにズルイ!」
「テマリが可愛いからつい、ね。ほんと罪な女だよね、テマリって」
「…その言葉、ナルトにだけには言われたくないんだが?周りにすっごくモテてるだろう。男女区別なしに。罪なのはそっちだと思うが」
「…変な事言うな」


ガクリと肩を落とせば、ふふん、とテマリが微笑んで
…どうやら意地悪された仕返しらしい
自分が一番痛いとこをつくなんて、さすがテマリというべきか


「からかった罰」
「ほんと、テマリのそういうトコ好きだな」
「…また、そういう事言う…」


困った奴だ、みたいに笑うから
やっぱ鈍いよなぁとちょっぴり呆れて

想いは伝わっているはずだと思うのに
その思いさえも揺れ、不安にさせて


「ほんと、罪深い…」
「何がだ?」
「…なんでもないってばよ」
「その口調で言われても真実味がないのだが…」


そうは言われても、しっかりと返答する気力も無いし…
フッと分からぬ程度にだが自嘲気味に笑う
失ったはずの感情もテマリの手にかかればオンパレードで舞い戻ってきてる気がする


「あ、そうだ。言い忘れてた」
「何?」


んーとちょっと悩んだ表情を見せたかと思うと、そっと、寄って来たと思えば…

首に腕を回されて
抱きしめられ
軽く頬に触れる暖かく柔らかい感触

驚いて
一瞬頭の中は真っ白になって


「おかえり」


耳元で囁かれた優しい言葉に珍しく顔は真っ赤になって
テマリを支える手とは反対の手で顔を押さえる
顔が微かに熱い


「…ただいま」


なんとかいつもと変わらないように聞こえるように声を出したが、それでも、少し、照れが混じってしまったのはご愛嬌って感じだ
こんなにテマリに振り回されてる自分が情けなくて
でも悪くないと感じてしまう自分もいて


あぁ、
もう、本当に君は…








「罪深いってば…」














fin






*****あとがき。*****
モノカキさんに30のお題「罪」よりテマナルですv文章からじゃなかなか分かりませんがスレですよ?(滅)
最近のテマとナルトが一緒にいる事&テマナル支持者が想像よりいたというとっても嬉しい気持ちが押さえられずまた書いてしまいましたv
ちなみに作中でシカをナルトが問い詰めてるのは私の心情です(笑)テマととっちゃいかんよ、シカ!!私はシカナル派でもあり、テマナル派なので(笑)
テマナルのナルトは微妙に乙女で微妙に意地悪な人なのが可笑しいです。鈍感テマも大好きです!!あはー(殴)
テマナル感想頂けるとお話書きやすいのでぜひ!!その時は布教頑張りますので!!!

では、このお話が少しでも皆様に気にいってもらえたなら幸い…

05.04.04「月華の庭」みなみ朱木




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